製品情報:トランスに関する一般的な用語
(表記記号、単位記号)
内容(JIS 規格の抜粋及び弊社社内取決めより)
- 仕様/規格/定格
- 変圧器設計における電気的仕様の基準(技術的に保証する仕様内容)。
- 相数(φ)
- 代表的なものに単相と3相があります。
- 単相(1φ)
- 一つの電気回路に一つの正弦波の電流が流れている。
- 3相(3φ)
- 一つの電気回路に三つの正弦波(位相が120度づつ遅れた正弦波)の電流が流れている。
- 巻き方
- 1次と2次の結合方式で単巻と複巻があります。
- 単巻(AUT)
- 1次側巻線と2次側巻線が連続した巻線にて構成され、1次側と2次側が電気的に絶縁されていない。
- 複巻(W)
- 1次側巻線と2次側巻線が独立した巻線にて構成され、1次側と2次側が電気的に絶縁されている。
- 絶縁種別(種)
- 変圧器を構成する絶縁材の種別(耐熱温度にて、A、E、B、F、H、C にランク分け)。
- 定格周波数(Hz)
- 変圧器が適正な状態で、動作するように設計された電源の周波数。
- 形状、タイプ
- 外観形状、弊社で取り決めた記号を使用致します。
(例)P、BP、BR、BL、AR、AL、TP、TPF、AB、TYC - 静電シールド(E)
- P − S 間静電シールド、1次側巻線と2次側巻線間に銅板等を挿入し、電源側ノイズを減衰させます。
- 定格出力/定格容量(VA)
- 定格周波数、定格入力電圧において各負荷側に連続して供給できる最大皮相電力をいい、2次巻線が2個以上ある場合は定格巻線出力の総和をいう。
変圧器設計における使用最大負荷容量。 - 1次電圧(P、V)
- 電源に接続する変圧器の1次側巻線の電圧、1次供給電圧。
- 1次巻線
- 入力巻線または電源側巻線、電源側の回路に接続される巻線。
- 定格入力電圧(V)
- 変圧器が適正な状態で動作するように設計された電源電圧。
- 2次電圧(S、V)
- 負荷に接続する変圧器の2次側の電圧。
- 2次巻線
- 出力巻線または負荷側巻線、負荷側の回路に接続される巻線。
- 定格出力電圧(V)
- 定格周波数、定格入力電圧において各負荷側に連続して供給できる端子電圧。
- 定格巻線出力
- 定格周波数、定格入力電圧において2次側の各巻線から各負荷側に連続して供給できる最大皮相電力。
- 2次電流(A)
- 負荷に供給する電流。
- 定格出力電流(A)
- 定格巻線出力と定格出力電圧とから算出される各2次巻線電流。
- 定格負荷
- 変圧器の2次巻線から定格出力電圧および電流を供給している状態のとき、2次巻線に接続されている負荷。
- 2次巻線端子電圧(V)
- 定格周波数において、1次巻線に定格入力電圧を加え、すべての2次巻線に定格出力電流を流したときの各2次巻線の端子電圧。
- タップ
- 電圧を変える目的で巻線に設けられた口出し。
- タップ電圧(V)
- タップ端子間の電圧で、定格電圧以外のもの。
- 周囲条件
- 使用環境(設置状態および周囲の温度、湿度、通気、大気中成分等々)。
- 使用温度範囲(℃~℃)
- 変圧器を連続動作(定格出力)での状態で使用できる周囲温度の範囲。
- 温度上昇(℃)
- 定格動作状態で連続動作させ、温度が一定になったときの各巻線及び鉄心(ケース、金具)の温度上昇。
ただし、巻線は抵抗法、鉄心(ケース、金具)は温度計法による。なお、温度上昇および周囲温度の決定方法は、それぞれ JIS C6435 の5.25.2(測定方法)(3)(巻線の温度上昇の決定方法)、(4)(鉄心又はケースの温度上昇の決定方法)、(5)(周囲温度の決定方法)による。 - 許容最高温度(℃)
- 絶縁の種類により異なる。温度上昇限度は最高使用温度と巻線の温度上昇の和が許容最高温度をこえないものとし、その値は個別規格による。
- 電圧偏差(±%)
- 1次側巻線に定格入力電圧を加え、2次巻線のすべてに無誘導負荷を接続して、定格出力電流を流したとき(以下、定格動作状態という)、各電圧と定格電圧(表示電圧)との許容差は、±5%以内でなければならない。ただし、定格電圧2.5V 以下のものに対しては、許容差は +5% -10%以内とする。
次式による電圧比(百分率)
電圧偏差(%) =定格動作電圧 − 表示電圧 表示電圧 - 電圧変動率(%)
- 2次巻線のすべてを開放し、1次巻線に定格入力電圧を加えて2次無負荷電圧(E0)を測定し、次に定格動作状態で定格出力電圧(E2)を測定し、次の式によって求めた電圧変動率が、次の値以下でなければならない。
定格出力が 3VA を超え10VA 以下の場合、40%
10VA を超え20VA 以下の場合、30%
20VA を超え60VA 以下の場合、20%
60VA を超えるものの場合、10%
次式による電圧比(百分率)
電圧変動率(%) =2次無負荷電圧(E0)- 定格出力電圧(E2) 定格出力電圧(E2) - 絶縁抵抗(MΩ)
- 負荷前において、各巻線間及び巻線と鉄心(ケース、金具)間の絶縁抵抗は、直流500V 又は1000V の絶縁抵抗計で測定し、その値が100MΩ以上なければならない。
- 耐電圧(V)
- 各巻線間及び巻線と鉄心(ケース、金具)間に、50Hz又は60Hz の正弦波に近い交流電圧を徐々に試験電圧まで加えたとき、1分間破壊することなく耐えなければならない。
原則として使用最高電圧と試験電圧の関係は
30V 以下の場合500V
30V を超え115V 以下の場合1000V
115V を超え250V 以下の場合1500V
250V を超えるものは最高使用電圧×2+1000V
なお、静電遮へいをしてあるものでは、シールドを鉄心(ケース、金具)に接続して試験を行なう。また、全波整流用の巻線で、中性点を接地して使用するものの最高使用電圧は、中性点から巻線端に至る電圧。 - 層間耐電圧
- 2次巻線のすべてを開放し、使用時に接地する端子を鉄心(ケース、金具)に接続して、1次巻線に定格周波数(F)の2倍以上の試験周波数(f)で定格入力電圧の2倍の電圧を120 × F / f 秒加えた場合、破壊することなく耐えなければならない。
なお、この試験時間は最高60秒間、最短15秒間とする。 - 無負荷電圧(V)
- 定格周波数において、1次巻線に定格入力電圧を加え、すべての2次巻線を開放したときに各2次巻線に誘起する電圧。
- 無負荷電流(A)
- 定格周波数において、1次巻線に定格入力電圧を加え、すべての2次巻線を開放したときに1次巻線に流れる電流。
- 無負荷損失(W)
- 定格周波数において、1次巻線に定格入力電圧を加え、すべての2次巻線を開放したとき消費される電力。
- 全損失(W)
- 定格周波数において、1次巻線に定格入力電圧を加え、すべての2次巻線に定格出力電流を流したとき、変圧器内で消費される電力。
- 効率(%)
- 出力と全損失の和に対する2次巻線の出力電圧と定格出力電流の積の比(百分率)。
- 過負荷
- 規定された周囲最高温度で、定格動作状態のまま入力電圧を定格電圧の110%に上昇させて、6時間放置する。その後、10分以内に(槽内で試験したものは槽から取り出す)耐電圧を試験し、絶縁抵抗を測定する。この場合、耐電圧は規定に適合し、絶縁抵抗は10MΩ以上でなければならない。また、ひび割れの機械的損傷、充てん物の漏えいなどの異常があってはならない。
- 端子強度
- 端子の引張り強さは、変圧器本体を固定し、リード線端子では軸方向に、その他の端子では端子の方向に、次表に示す荷重を徐々に規定値まで加え、そのまま規定時間保持したとき、緩み、切断、その他の破壊があってはならない。ただし、荷重は端子1本ごとに加える。なお、質量0.2kg 以下のものに対しては、自重の5倍の静荷重とする。
質量(kg) 荷重(N) 保持時間(S) 0.2 を超え0.5 以下 10 30±5 0.5を超え 2以下 15 2を超えるもの 25